週150分の運動が体に良い?:運動と健康に関するウェブページ選(2)

週150分の運動が体に良い?:運動と健康に関するウェブページ選(1)の続きです。

管理人の個人的意見:自分に合った運動量を楽しもう!

週150分の運動が体に良い?:運動と健康に関するウェブページ選(1)では、中程度の有酸素運動を週150分行うことなどが推奨されていることを見ました。

当ブログ管理人は、学生時代に運動系の部に所属していましたし、社会人になった今でも運動の習慣があります。運動することは好きです。

それでも、現役バリバリの社会人が、週に150分の運動時間をコンスタントに確保することは簡単ではないと感じます。週に150分の運動とは、どうしても忙しかったり、「雨がひどくて、ウォーキングをするのは難しい」といった日もあるでしょうから、「30分の運動を週5日」くらいのイメージでしょうか。準備運動や、運動前後の着替えなども含めると、もっと時間がかかります。

ところが、30分の運動時間(プラス、準備運動や、運動前後の着替えなどにかかる時間)を捻出するためには、その分、仕事を早く切り上げたり、睡眠時間を削ったりせねばなりません。いずれの場合でも週5日です。過去記事でも見たように、睡眠時間の確保も大切ですが、そちらに影響が出てしまいかねません。家庭を持っている場合、仕事の後に運動をしようとすると、終業→帰宅→食事→入浴といった、家事など(家庭ごとに、だいたいウチはこう、のようなルーチンがあると思います)が終わるのが、全体的に遅くなってもしまいます。

そもそも、多くの人を全体としてみた場合に週150分の運動が推奨されるのであって、最適な運動量は個々人で異なるかもしれません(同様のことはアルコール睡眠時間についても言えるかもしれません)。

例えば仮に(仮にです)、多くの人を全体としてみた場合に体重60kg台のグループが最も健康的だとわかったとしても、もともとの体重が50kgの人が無理にその体重まで増やそうとすると、その人にとっては太り過ぎになってしまうかもしれません。同様に、週150分の運動は多すぎる、という人がいるかもしれません。運動量自体は大丈夫なのだが、上に書いた、仕事や睡眠、家庭とのバランスを考えると週150分の運動は多すぎる、という人もいるかもしれません(いや、きっとたくさんいると思います)。

ひとつ前のエントリーで見たとおり、「適度な運動」の「適度」がどのくらいなのか研究で判明というウェブページで、「「推奨されている運動量に達しないものの、いくらかは運動を行っていた」というグループでも、早世のリスクは運動をしないグループに比べて20%も少ない」という知見が紹介されていました。

本エントリーでは、当ブログ管理人の個人的意見として、上の知見を推しておきたいと思います。たしかに、週150分の運動ができれば良いです。それを否定するものではありません。しかし、現実的には、無理のない範囲で時間を捻出して、運動を楽しむ、というところから始めてもよいのではないでしょうか?

なお、次のように述べているページもあります。

筋肉がホルモンを出して糖尿病、がん、アルツハイマー病などのリスクを防ぐ。常識を覆す「運動」効果の解明に挑む
https://www.lifehacker.jp/2016/09/160927mugendai.html

運動が健康にいいことは承知しているのに、実際には運動しない人が多いことが問題です。「運動しなさい」と言われると、シューズやウエアを買ったり、気合を入れたり。こんなイメージでは、長続きしないのが当然です。

日常生活で必要とされる身体活動のレベルを、少しでも超えるものは全て「運動」と言えます。ある運動と別の運動の違いをうんぬんするより、運動するかしないかの違いの方がものすごく大きいのです。

週150分の運動が体に良い?:運動と健康に関するウェブページ選(1)

「運動することは体に良い」、「健康維持のためには休息(睡眠)、食事、運動」などと一般に言われます。一方、運動もやり過ぎは体に悪い、というイメージもあります。最適な運動時間や運動量は、どのくらいなのでしょうか?

健康にいい、適度な運動量ってどのくらい?
https://www.lifehacker.jp/2018/04/how-much-exercise-do-i-really-need.html

上のウェブページでは、世界保健機関、米国疾病予防センター、米国心臓協会の三機関による、有酸素運動についての見解として、以下を紹介しています。

・ウォーキングなど、中程度の運動を週150分。できれば1回30分を5回に分けるのが理想。
・ランニングなど、激しい運動を週に75分。25分を3回が理想。
・10分未満の運動は1回にカウントせず、できるだけ1週間のうちにまんべんなく分散させる(つまり、1回で90分やっても十分ではない)。

「中程度の運動を週150分。かつ、激しい運動を週に75分」なのか、どちらか片方だけで良いのか、どちらでしょうか。上記のウェブページには「近所を散策するのが好きなら、1つ目の方法がよさそうです。ハードなトレーニングが好きで、スポーツウェアの洗濯が億劫なら2つ目の方法がいいでしょう」とありますので、後者(どちらか片方)のように思えます。上の3機関の見解は、以下の各ページを指していると思われますが、原文にはやはりそのように書いています。原文は、上に加えて、筋力トレーニングを週2回以上行うべき、座っている時間を短くすべきとも述べています。

「体格のよい欧米人なら週150分かもしれないが、比較的小柄な日本人はそうでないのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、性別や人種にかかわりなく、18歳から64歳のすべての健康な人に上記は当てはまる旨が、以下のWHOのウェブページには書いてあります。

また、3機関の以下のウェブページには、心臓病や脳卒中、2型糖尿病、がんなどの予防、不安感や抑うつ感の低減、睡眠や認知機能の改善などを運動の効果として挙げています。効果をさらに上げるためには、中程度の有酸素運動を週300分、または、激しい有酸素運動を週に150分にまで増やすべきだとも述べています。

Physical Activity and Adults
Recommended levels of physical activity for adults aged 18 – 64 years
https://www.who.int/dietphysicalactivity/factsheet_adults/en/

Physical Activity Basics
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How much physical activity do you need?
https://www.cdc.gov/physicalactivity/basics/index.htm?CDC_AA_refVal=https%3A%2F%2Fwww.cdc.gov%2Fcancer%2Fdcpc%2Fprevention%2Fpolicies_practices%2Fphysical_activity%2Fguidelines.htm

American Heart Association Recommendations for Physical Activity in Adults and Kids
https://www.heart.org/en/healthy-living/fitness/fitness-basics/aha-recs-for-physical-activity-in-adults

運動をすれば幸福度が上がる、ピークは毎日22分以上の運動量:研究結果
https://www.lifehacker.jp/2018/05/16706922minutes-mylohas.html

週に150分の運動」は、上のウェブページでもポイントになっています。上のウェブページは、ミシガン大学の研究者たちの報告を紹介しています。それによると、運動と幸福感との間には関連があり、10分の運動でも幸福感がアップする。満足度のピークは150分である、とのことです。

「適度な運動」の「適度」がどのくらいなのか研究で判明
https://gigazine.net/news/20150429-right-dose-of-exercise/

上のウェブページも、「週に150分の運動」に関して、アメリカ国立がん研究所とハーバード大学の研究チームによる、中年を中心とする66万1000人のデータをもとにした研究結果を紹介しています。例えば以下のとおり上のウェブページは述べています。

最も早世のリスクが高かったのは「全く運動しない」というグループ。しかし、意外なことに「推奨されている運動量に達しないものの、いくらかは運動を行っていた」というグループでも、早世のリスクは運動をしないグループに比べて20%も少ないことが判明しました。そして週に150分という、推奨量ちょうどの運動を行っていたグループは、全く運動していなグループに比べて死亡のリスクが31%も低かったとのこと。

上のウェブページでは、上記の研究や、20万人のオーストラリア人の健康調査データを調べた別の研究からは、「激しい運動が死亡率を上げる」という結果は出なかった、という点も紹介しています。
一方、以下のウェブページによると、運動のし過ぎには注意した方が良いかもしれません。

やり過ぎ厳禁! 適度な運動量ってどれくらい?
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/091500068/091600002/

上のウェブページは、約110万人の女性について日々の運動量と健康状況を9年間調べたところ、あるレベルまでは運動量が多くなるほど心臓病や脳血管疾患のリスクが低くなっていったが、ウォーキングやサイクリングなどの運動を「毎日欠かさず行う人」は、逆にリスクが高くなってしまったことを紹介しています。ケガの発生率や医療機関の受診日数が高まる具体的な数字として、「月200km以上走る人」を挙げてもいます。

長くなったので次のエントリーに続きます。

飲酒は体に悪いかもしれない:アルコールと健康に関するウェブページ選

一般に、大量の飲酒は体に悪い一方、「酒は百薬の長」とも言われ、適量なら健康に良いイメージがあります。

ところが、最近の医学研究の成果によると、一般に考えられているよりもアルコールの適量はずっと少ない可能性があるかもしれません。

ほどほどでも飲酒を続けると脳には有害?
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/10/post-8737.php

適量なら飲酒は健康にいい――という常識を覆して、少量でも長期に渡って飲酒を続けると脳がダメージを受けるという酒好きにはショッキングな研究結果

上の記事は、「週当たり14~21単位のアルコールを摂取していた人は、記憶や空間認知をつかさどる脳の部位である海馬が萎縮する確率が、飲まない人の3倍も高かった」という、2017年6月にブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)で発表されたオックスフォード大学とロンドン大学ユニバーシティーカレッジ(UCL)の研究を紹介しています。「イギリス政府の定めたガイドラインでは、飲酒は週に14単位以内にすべきとされている」ことも紹介しています。

上の記事によると、1単位は「度数4%のビールなら250ミリリットル、13%のワインなら76ミリリットルに相当する」とのことです。当ブログ管理人はビールをたまに飲みますが、日本でコンビニなどで買えるビールには、アルコール度数が5.5%とか、6%のものが多いように思えます。アルコール度数が6%のビールなら、上の計算で行くと、1単位は約167ミリリットルです。

上の記事を読むかぎり、「飲酒は週に14単位以内」がポイントであるように思われます。アルコール度数が6%のビールなら、1週間に約2.3リットル以内=1日に約333ミリリットル以内という計算になります。毎日350ミリリットル缶1本だと少しオーバーする、ということになります。

1日にお酒1杯でも寿命縮めるリスク 英研究
https://www.bbc.com/japanese/43751566

上の記事も同様のことを紹介しています。上の記事は、「最新の大規模研究」の結果、「科学者たちは死亡リスクを上昇させない安全上限が、1週間あたりアルコール飲料約12.5ユニットだと発見した。これはビール約5パイント、あるいは平均以上のアルコール度数を持つワインを175ミリリットルのグラスで5杯分に相当する」ことを紹介しています。1パイントが何リットルかは、英国と米国で異なります。上の記事のタイトルに「英研究」とありますので、英国の数字を採用すると、1パイントは0.568リットルです。すると、死亡リスクを上昇させない上限は、1週間あたりビール2.84リットル=1日あたりビール約406ミリリットルということになります(ちなみに、もし、米国の数字(1パイント=0.473リットル)を採用すると、上限は1日あたりビール約338ミリリットルになります)。ひょっとすると、上記「ほどほどでも飲酒を続けると脳には有害?」のように、ビールと言っても、日本でコンビニなどで買えるビール(度数6%とします)よりもアルコール度数が低いものが想定されているかもしれません。もしそうだとすると、度数6%のビールを飲む場合、上限はもっと低くなります。

上のほかにも、複数のウェブページが、同様の研究結果を紹介するなどしています。

「適量のお酒」ですら脳の認知機能の低下を早めるとする調査結果
https://gigazine.net/news/20170613-moderate-drinking-cause-brain-decline/

→上記「ほどほどでも飲酒を続けると脳には有害?」と同じ研究を紹介しています。

1週間に7杯を超える飲酒が寿命を縮めるという研究結果
https://www.mylohas.net/2018/06/169184drinking.html

→内容から判断して、上記「1日にお酒1杯でも寿命縮めるリスク 英研究」と同じ研究を紹介しています。

「お酒を飲むことは総合的に見て健康に悪い」という研究報告
https://gigazine.net/news/20180824-alcohol-lead-disease-worldwide/

BMJ誌から 「適度な飲酒は健康に良い」は統計のマジック 様々なバイアスを考慮した解析では、飲酒で健康になれる人はわずか
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/bmj/201503/540993.html

上の各ウェブページのほかにも、精神科医の先生が運営している「Dr 林のこころと脳の相談室」というウェブサイト(http://kokoro.squares.net/)では、「酒は百薬の長」という諺には後半があり、「酒は百薬の長、されど万病のもと」ということを紹介しています(※)。アルコールは、医学的には、麻薬や覚醒剤と同じドラッグの一種であり、世界の歴史を見れば、ドラッグの合法・非合法の区別はまったくまちまちである、現代の日本でたまたま合法化されているにすぎないと指摘もしています(※※)。
(※)アルコール依存症>書斎 http://kokoro.squares.net/alstd1.html
(※※)アルコール依存症 http://kokoro.squares.net/al0.html

本エントリーで紹介した各ウェブページは、主に、長期にわたる飲酒について述べているのであって、アルコールを1日たりとも絶対に飲んではならないとは言っていません。当ブログ管理人は、この記事を書くために、日本のビールメーカーのウェブサイトを参照していましたが、そうしているうちにビールが飲みたくなってしまいました(笑)
ともあれ、アルコールは、一般にイメージされているよりも少ない量で健康に悪影響を及ぼすようだ、と意識しておこうと思います。