ゲームは1日何時間まで?勉強やゲームに青春をかけたら駄目か?両立は可能か?

LINEで送る
Pocket

ベストセラーになった『「学力」の経済学』(中室牧子.Kindle版,ディスカヴァー・トゥエンティワン,2015年,位置No. 492-559)は、「テレビやゲームは子どもに悪影響を及ぼすのか」というセクションで、著者の研究成果を次のとおり紹介しています。

スポンサーリンク

どれくらいのテレビ視聴やゲーム使用だったら無害なのでしょうか。私たちの推計によると、1日に1時間程度のテレビ視聴やゲーム使用が子どもの発達に与える影響は、まったくテレビを観ない・ゲームをしないのと変わらないことが示されています。一方、1日2時間を超えると、 子どもの発達や学習時間への負の影響が飛躍的に大きくなることも明らかになっています。

子どもが、1日1時間 程度、テレビを観たりゲームをしたりすることで息抜きをすることに罪悪感を持つ必要はありません。

この結果になるのは当たり前かな、と感じます(もちろん、当たり前だろうと経験的に思われることを、研究によって実証することには意義があると思います)。小学生の頃はゲームが大好きでしたが、1日1時間程度ではライバルの同級生に到底太刀打ちできません。子どもたちの間で尊敬されるほど上達するには、1日何時間もプレイせねばなりませんでした。1日何時間も(上の研究では2時間超)ゲームをしていれば、学習時間が減るのは当然かなと思います。上の「子どもの発達[中略]への負の影響」とは、例えば近視になってしまう、のようなことを指しているのでしょうか。今後、時間があれば、上の研究の原文を見てみたいと思います。

上の引用箇所と似たようなことは、テレビやゲーム、勉強以外のことにも当てはまるかもしれません。例えば、スポーツや習い事を1日にごく短時間するだけでは、まったくしないのと変わらないかもしれません(勉強に悪影響を与えない代わりに、上達もしないかもしれません)。一方、スポーツや習い事を毎日長時間行うと、上達はするけれども、テレビやゲームの場合と同様に、学習時間への負の影響が出てくるかも傾向があるしれません(不勉強で、具体的には存じていませんが、こういうことを実証した研究もあるかもしれません)。

ひょっとしたら、勉強も、やり過ぎると負の影響が出てくるかもしれません。『「学力」の経済学』(Kindle版,位置No. 821-978)では、「〝勉強〞は本当にそんなに大切なのか? 人生の成功に重要な非認知能力」という章を設け、「非認知スキル」または「非認知能力」と呼ばれるものの重要性を力説しています。それは、「IQや学力テストで計測される認知能力とは違い、「忍耐力がある」とか、「社会性がある」とか、「意欲的である」といった、人間の気質や性格的な特徴のようなもの」であり、「将来の年収、学歴や就業形態などの労働市場における成果にも大きく影響することが明らかになってきた」(位置No. 841,849)としています。著者によれば、人生の成功のために特に重要な非認知能力は「自制心」と「やり抜く力」であり、それらは教育やトレーニングによって鍛えて伸ばせるものです。「最近では、非認知能力を鍛える手段として、部活動や課外活動にも注目が集まっています。他にも、[中略]教室で学んだことを地域社会で問題解決のために生かすような教育や、アウトドア活動なども有効」であるとしたうえで、「目の前の定期試験で数点を上げるために、部活や生徒会、社会貢献活動をやめさせたりすることには慎重であるべき」と述べています(位置No. 971)。『「学力」の経済学』に沿って考えれば、勉強(ここでいう勉強とは、IQや学力テストで計測される能力である、認知能力を上げるための勉強)をし過ぎて非認知能力がおろそかになるとよくない、ということになります。

本エントリーの結びとして、個人的な意見と問いを一つずつ。

スポンサーリンク

1.テレビやゲームの時間が一定以上になると健康や勉強に悪影響を及ぼすことは、上の引用箇所のとおり、データがあります(※)。でも、ゲームであれ、スポーツであれ、勉強であれ、高い目標を達成するためには(例えば「志望校に絶対合格したい」「大会で必ず勝ちたい」「このゲームを窮めたい」などなど)、ほかのことに多少支障が出ても、それに没頭することが必要な時期が、人生のどこかであると思います。陳腐ですが、個人的な意見です。もちろん、子どもにそれを無理強いしたり、回復できないほどの被害が出てしまってはいけないと思います。

※なお、『「学力」の経済学』は、「テレビやゲーム「そのもの」が子どもたちにもたらす負の因果効果は私たちが考えているほどには大きくない」(Kindle版,位置No. 517)、「ゲームの中で暴力的な行為が行われていたとしても、それを学校や隣近所でやってやろうと考えれるほど、子どもは愚かではない」(同,位置No. 526)という研究結果も紹介しています。あくまで、1日に費やす時間が一定以上になると健康や勉強に悪影響を及ぼすと指摘しているのみです。

2.本エントリーでここまで書いてきたことは、「ゲームか?勉強か?」のような、二者択一的な内容です。一方、「ゲームも、勉強も、両方好成績を収めるための時間配分や方法について、ある程度普遍的なデータは得られないだろうか?」と問うてもよいのではないでしょうか。「ゲームも、勉強も」の箇所は、「勉強も、スポーツも」でも、「スポーツも、ゲームも」でも、どの組み合わせでもよいです。「勉強も、スポーツも、ゲームも」もありうるかもしれませんが、欲張らずにまずは、2つのことの両立について提起してみます。

当ブログ管理人は、普通の公立中学校を出た後、学区で一番の進学校に入学しました。そこで驚いたことの一つは、「特に厳しめの運動部で1年生からレギュラーになり(しかも、3年生の春で引退せず、3年生の秋の大会まで続けたりする)、その後、東大や医学部に合格」のようなことを成し遂げる人が一学年に何人もいることでした。そもそも才能に恵まれている人が世の中にいることは事実だと思いますが、こうした経験から、上の問いを提起しておきます。「2つのことを両立させるための時間配分や方法についての、ある程度普遍的なデータ」がもしあれば、大人になってからも、例えば「家庭と仕事の両立」などに応用できるかもしれません。

スポンサーリンク
LINEで送る
Pocket

投稿者: まなびや

まなびやと申します。 このサイトでは、ネット上で見つけた興味深いウェブページを紹介・レビューしていきます。それ以外の独自記事も徐々に書きます。ジャンルは医療・健康、人間関係・対人関係、結婚・妊娠出産・育児子育て、介護、ビジネス・マネーなどなど。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です