緑内障と診断されたときに役立ちそうなウェブページ選(3)の続きです。
緑内障診療ガイドライン(第4版,2017年)は、「眼底検査において緑内障性視神経乳頭所見や網膜神経線維層欠損所見などの緑内障を示唆する異常がありながらも通常の自動静的視野検査で視野欠損を認めない状態」(p. 15. 太字は当ブログ管理人による)を前視野緑内障(preperimetric glaucoma:PPG)と称し、「原則的には無治療で慎重に経過観察する.しかしながら,高眼圧や,強度近視,緑内障家族歴など緑内障発症の危険因子を有している場合や,特殊あるいはより精密な視野検査や眼底三次元画像解析装置により異常が検出される場合には,必要最小限の治療を開始することを考慮する」(p. 35)としています。
PPGについて、現場の医師の先生方は、いろいろなご意見をお持ちのようです。本エントリーでは、いくつかのウェブページを紹介したいと思います。
※本エントリーの目的は、興味深いと当ブログ管理人が個人的に感じたウェブページを紹介することです。
医療・健康に関する情報は、すべての人に一様に当てはまるわけではない場合が多いです。医療の進歩などにより、本エントリーで紹介するウェブページの内容が古くなったり、ウェブページを書いた人の考え方が変わるかもしれません。
そのため、PPGその他の具体的な心配や相談などがある場合は、本エントリーは参考にとどめ、医療機関を受診すべきだと思います。
眼底に緑内障所見があっても視野検査で異常はない緑内障をどうするか? 治療するべきかどうか
http://blog.livedoor.jp/eyedoctor/archives/51969985.html
緑内障ガイドラインには「前視野緑内障は原則的には無治療で慎重に経過観察をする」と記載されています。[中略]特に近視の強い人に誤って異常としてしまう危険性があり、治療する必要のない人に一生涯、治療をすることになってしまい、その人の時間的経済的な損失は大きく、できるだけそのような不要な治療を避けなければなりません。しかし、前視野緑内障の方の中には、将来緑内障へと発展する可能性も高く、その見極めが重要になります。
上記ウェブページには以上のとおり説明されています。難しい問題だということは素人にも感じ取れます。
PPGに対しては、積極的に治療すべきという考えの先生も、慎重に経過を観察するという考えの先生も、両方いらっしゃるようです(※医療は進歩するので、将来、先生方の考えが変わる、ということもひょっとしたらあるかもしれません(当ブログ管理人の個人的予想))。
積極的に治療派
PPG(視野障害前緑内障)と言う新たな難題。
https://plaza.rakuten.co.jp/nishiwakiganka/diary/201607110000/
私達人間には目の視神経が元々120万本あります。そして大雑把に言うとこれが半分の60万本を切ると視野(見える範囲)が欠けてきて緑内障発症ということになります。
そして視神経に異常がありそれに一致する視野欠損があれば、どこからどう見ても立派な緑内障で当然に治療開始と言うことになる訳ですが、例えば今の視神経が残り70万本位で思い切り緑内障性の視神経変化を認めるけれども、視野検査では色々な検査法を駆使してチェックしてもまだ完全に正常であると言うことは臨床上非常に良くあります。
上のウェブページの著者の先生は、「私自身の考えを言えば、PPGは積極的に治療を開始すべきであると思います」と述べています。
同様の意見を持つ先生はいらっしゃるようです。
PPG
http://www.nishikawaclinic.com/blog/archives/1763.html
まだ緑内障と診断がつかないPPGで点眼を始めるかという話題がありましたが皆さんならどうされますか私なら点眼します。点眼で不可逆性変化を防ぐことができるなら安いものです。緑内障は白内障とは異なりに戻ることができない病気です。折角検査して緑内障の前段階を見つけたら無駄かもしれないが自分自身なら点眼を開始します。
第9回眼科治療を語る会 を聴いて・・・・ その2 (751)
https://takeganka.exblog.jp/22063225/
私は、診断に間違いなければ、視野異常が出現するまで待つほど気が長くありません。緑内障性変化が継続的に進行するとして、視野変化が出現する前には、神経節細胞が大量に失われる時期が長期間存在すると考えているからです。この期間を経過観察とするのは、あまりに勿体無い・・と考えます。
経過観察派
一方で、次のような意見の先生もいらっしゃいます(※正確には、次のウェブページではPPGという言葉は使われていないのですが、文脈上、同様の状態についての記述だと個人的に理解しました)。
緑内障? 視神経:OCTで評価
http://www.blog.sannoudaiganka.jp/?p=195
視野が全く欠けていない症例では、眼圧が重度に高い場合や、家族に緑内障で失明した人がいる場合などを除き、治療はせずに様子をみるようにしていますが、緑内障の予備軍として、1年後に必ず診察を。
「個々の患者さんとの相談で決める」
現時点では、ほかの病気などでなくPPGであると確定した場合、医師と患者が相談して決めたり、患者自身が選択する、となる場合が多いのでしょうか(当ブログ管理人の個人的推測)。次のように述べているウェブページがあります。
緑内障の病因は…?
http://www.satouganka.com/blog/2175/
PPGの治療開始に関しては個々の患者さんとの相談で決めるという古典的な治療指針となります。
上のウェブページの著者の先生は、同じブログ内で、「現時点でのPPGに関するエビデンスは非常に希薄であり、その定義や治療方針も定まっていません。眼圧正常な20代のPPG疑い症例に、生涯にわたり継続が必要な緑内障点眼を開始すべきかどうか…非常に難しい選択と言えるでしょう」(Preperimetric glaucoma)とも述べています。