(書評記事)『困った性格の人とのつき合いかた』(1)の続きです。
「第2章 困った性格のタイプ分け」では、パーソナリティ障害について、分類や本質的な問題、随伴する特徴などを解説しています。いくつもあるパーソナリティ障害のうち、「境界性パーソナリティ障害」と「自己愛性パーソナリティ障害」、そして「ヒステリー性格」(精神医学で言う「ヒステリー性格」(詳細はp100-)です。一般用語、日常会話の「ヒステリー」とは異なります)の3つを、日常生活を送る中でよく出会う「困った性格の人」として本書で取り上げるとしています。57ページの図表に、なぜその3つを取り上げるのか、説明が書いてあります。
なお、いわゆる「困った性格の人」に大変な思いをさせられた経験が当ブログ管理人には何回かありますが、振り返ってみると、彼ら/彼女らは上の3つのタイプのどれかにドンピシャというわけでもなかったな、と感じます。58ページの図表には「特定不能のパーソナリティ障害」(「その人のパーソナリティの様式がパーソナリティ障害の全般的基準を満たしており、いくつかの異なったパーソナリティ障害の傾向が存在しているが、どの特定のパーソナリティ障害の基準も満たしていない」ものなど)が挙げられています。また、「パーソナリティ障害とまではいかない「より軽度な性格病理」」のような表現も本書に複数回登場します。本書が解説する、困った性格の人への対処法の原則をしっかり学び、上の3つに合致しないようなタイプの「困った性格の人」ともやっていけるようになりたいところです。
「困った性格」に関して、第1章と第2章で解説がなされます。それでは対策は?と思いますが、困った性格の人への具体的な対応法を考える前に、「第3章 困った性格の病因論:なぜ人は困った性格になってしまうのか」では、困った性格はどのようにして生まれるのか(=精神医学の言葉で言う「パーソナリティ障害」や、パーソナリティ障害とまではいかない「より軽度な性格病理」の問題はどのように生じるのか)、ということについて述べています。けっこう「身もふたもない」内容のように思えますが、科学的・精神医学的な見解を述べており、大変参考になります。
長くなったので次のエントリーに続きます。